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【まとめ1】肥満・糖尿病と肝細胞癌


こんにちは

先日、日本消化器内視鏡学会関東支部 第41回教育講演会に出席しました。

教育講演会で学んだ内容のうち、私が興味をもった
1.「肥満・糖尿病と肝細胞癌」
2.「Helicobacter pylori 陰性時代の上部消化管癌」 
3.「大腸癌の疫学と診断および治療」 
4.「排便障害の診断と治療-大建中湯への期待」
に関して、今後要点を箇条書きにしてまとめていきます。

今回は1.「肥満・糖尿病と肝細胞癌」についてのまとめとなります。

このまとめは私が教育講演で得た内容を勉強を兼ね備忘録的にまとめたものになります。
そのためわかりづらい点があるかと思われますがご容赦ください。
大事な点は【まとめ】に記載しております。
参考にして頂ければ幸いです。
1.「肥満・糖尿病と肝細胞癌」 について

【まとめ】
●肝癌の原因としてウイルス以外によるもの(非B非C型肝癌)が増加している。
●肥満、脂肪肝、糖尿病が肝発癌率を上昇させる因子である。

【内容】
<総論>
・肝細胞癌の大部分がC型肝炎ウイルスの持続感染を背景に生じていたが、近年その割合は減少傾向で、ウイルス肝炎を合併しない患者が増加している。
・ウイルス肝炎を合併しない肝癌患者(非B非C型肝癌)の割合は1991年の10%から2015年には32.5%まで増加している*1。
・非B非C型肝癌の大部分が飲酒と肥満が種々の程度に関与した「生活習慣関連」肝癌が占めている。

<肥満、糖尿病、脂肪肝の増加>
・非B非C型肝癌が増加している背景には肥満(BMI25Kg/m2以上)、糖尿病、脂肪肝の増加がある。
・過去30年にわたって男性肥満者の割合が年代を問わず増加している。
・女性においては若年層のBMIは低下傾向にあるものの、高齢者では肥満者が25〜30%を占める。
・肥満者の増加と歩調を合わせるように、本邦の糖尿病患者数も増加している。
・糖尿病と診断されるものは約1,000万人、糖尿病予備軍とされるHbA1c≧6.0%かつ<6.5%のものを加えると約2,000万人に達する。*2
・脂肪肝が増加している。一般成人人口に占める脂肪肝の割合は男性の約30%、女性の15%を占める。*3

<肥満と肝発癌>
・肥満は糖尿病、高血圧、脂質異常などのメタボリックシンドロームと密接な関係がある。
・肥満は大腸癌、膵癌、腎癌、前立腺癌、乳がんなど種々の発癌リスク・癌死リスクを上昇させる。
・北米のデータによるとBMI 35Kg/m2以上の男性の全癌死亡リスクは1.20倍であり、中でも肝癌による死亡リスクは4.52倍と傑出して高値であった。*4
・英国の研究ではBMIが5Kg/m2上昇すると肝発癌リスクは約1.2倍となる。*5

<脂肪肝と肝発癌>
・非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD, non-alcholic fatty liver disease)はアルコールを摂取しないにもかかわらず、肝組織所見でアルコール性肝障害と同様の像を示す病態である。
・NAFLDの肝組織所見において風船様肝細胞変性(ballooning)を認めた症例は肝硬変や肝関連死の発症率がより高頻度である。*6
・ballooningを伴うNAFLDをNASHとよぶ。
・NAFLDはNASH、肝硬変、肝癌へと進展する進行性の慢性肝疾患である。
・NAFLD、NASHからの肝関連イベント発症及び予後に最も重要な因子は肝線維化である。*7
・肝硬変を合併しないNAFLDの肝発癌率は低く、年率0.1%未満である。*8
・線維化評価のために全例で肝生検を実施するのは現実的ではないため、非侵襲的に高度線維化症例を拾い上げる試みが行われている。*9

<糖尿病と肝発癌>
・メタボリックシンドロームを構成する因子の中でも、糖尿病は肝病態進展に寄与する独立した因子であり、肥満同様様々な発癌リスクを上昇させる。*10
・肝癌発生リスクは糖尿病患者において約2倍であり、他のがんと比較して最も高かった。*11
・糖尿病患者においても一般人と同様に悪性新生物による死亡が最多であり、臓器別に診ると肝癌による死亡は肺癌に次いで2位であった。*12
・肝癌は糖尿病患者における合併症として、また死因として重要な疾患である。
・FIB-4(fibrosis-4) index値というものにより肝発癌高危険群の囲い込みが可能となった。*13
・FIB-4(fibrosis-4) index値はトランスアミナーゼと血小板値、年齢で算出できる簡便な指標であり、糖尿病外来での肝癌早期発見への有用性が期待されている。


【参照】
1) Tateishi R, Okanoue T, Fujiwara N, et al. Clinical characteristics, treatment, and prognosis of non-B, non-C hepatocellular carcinoma: a large retrospective multicenter cohort study. J Gastroenterol 2015; 50: 350-60.
2) 厚生労働省. 性別・年齢階級別肥満者の割合. 国民健康・栄養調査 1987-2007.
3) Kojima S, Watanabe N, Numata M, et al. Increase in the prevalence of fatty liver in Japan over the past 12 years: analysis of clinical background. J Gastroenterol 2003; 38: 954-61.
4) Calle EE, Rodriguez C, Walker-Thurmond K, et al. Overweight, obesity, and mortality from cancer in a prospectively studied cohort of U.S. adults. N Engl J Med 2003; 348: 1625-38.
5) Bhaskaran K, Douglas I, Forbes H, et al. Body-mass index and risk of 22 specific cancers: a population-based cohort study of 5·24 million UK adults. The Lancet 2014; 384: 755-765.
6)Matteoni CA, Younossi ZM, Gramlich T, et al. Nonalcoholic fatty liver disease: a spectrum of clinical and pathological severity. Gastroenterology 1999; 116: 1413-9.
7)Dulai PS, Singh S, Patel J, et al. Increased risk of mortality by fibrosis stage in nonalcoholic fatty liver disease: Systematic review and meta-analysis. Hepatology 2017;65:1557-1565.
8)Degasperi E, Colombo M. Distinctive features of hepatocellular carcinoma in non-alcoholic fatty liver disease. Lancet Gastroenterol Hepatol 2016; 1: 156-164.
9)Newsome PN, Sasso M, Deeks JJ, et al. FibroScan-AST(FAST)score for the non-invasive identification of patients with non-alcoholic steatohepatitis with significant activity and fibrosis: a prospective derivation and global validation study. Lancet Gastroenterol Hepatol 2020; 5: 362-373.
10)Simon TG, King LY, Chong DQ, et al. Diabetes, metabolic comorbidities, and risk of
hepatocellular carcinoma: Results from two prospective cohort studies. Hepatology 2018; 67: 1797-1806.
11)Kasuga M, Ueki K, Tajima N, et al. Report of the Japan Diabetes Society/Japanese Cancer Association Joint Committee on Diabetes and Cancer. Cancer Sci 2013; 104: 965-76.
12)中村二郎, 神谷英紀, 羽田勝計, et al. 糖尿病の死因に関する委員会報告 アンケート調査によ る日本人糖尿病の死因 2001 ~ 2010年の10年間、45,708名での検討. 糖尿病 2016; 59: 667-684.
13)Tateishi R, Matsumura T, Okanoue T, et al. Hepatocellular carcinoma development in diabetic patients: a nationwide survey in Japan. J Gastroenterol 2021; 56: 261-273.     

教育講演で学んだ内容を日常診療に活かして参ります。

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院長 飯田 修史

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