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日本消化器病学会関東支部 第48回教育講演会に参加しました|進化を続ける消化器病診療

作成日:2026年6月7日 / 更新日:2026年6月7日
執筆:足立外科胃腸内科医院 院長 医学博士 飯田修史
保有資格:消化器内視鏡専門医・消化器病専門医・外科専門医
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日々の診療をより良いものにするため、当院では最新の知見を継続的に学ぶようにしています。
本日、日本消化器病学会関東支部 第48回教育講演会に参加しました。
今回のメインテーマは「進化を続ける消化器病診療」。本記事では、特に印象に残った講演1・講演3・講演4とスポンサードセミナー2について、患者さんにも伝わるかたちで内容を軽くご紹介し、当院の診療とどうつながるかを院長の視点で書き添えます。

この記事の独自性:学会発表の単なる要約ではなく、足立区青井で日々胃カメラ・大腸カメラを行っている院長が「実際に聞いて何を感じたか」「当院の診療にどう活かすか」を一次体験として書いています。専門的な発表内容を、受診を考える方の目線に翻訳することを意識しました。

目次

1.今回の教育講演会について
2.講演1:見落としの少ないスクリーニング内視鏡検査
3.講演3:小腸疾患診療の進歩
4.講演4:ピロリ菌陰性胃癌時代の診断と治療
5.スポンサードセミナー2:消化器の"困りごと"に対する漢方
6.まとめ:学び続けて診療に還元します
7.よくある質問

1.今回の教育講演会について

今回の教育講演会は、メインテーマを「進化を続ける消化器病診療」とし、2026年6月7日にWEB(ライブ配信)で開催されました。会長は自治医科大学の森本直樹先生です。

消化器の医療は、内視鏡や画像診断機器の高性能化、新しい薬剤の登場、体への負担が少ない治療技術の洗練、そして病気の成り立ちの理解の深まりが、同時並行で進んでいます。一日のプログラムでは、内視鏡検査の基本から、小腸の病気、胃がん、肝臓・胆膵の病気、さらには漢方まで、消化器領域の「いま」が幅広く取り上げられました。その中から、当院の診療と関わりの深い4つのセッションをご紹介します。  
(昨年の第47回教育講演会の参加報告はこちら(第47回教育講演会レポート)です。あわせてご覧ください。)

2.講演1:見落としの少ないスクリーニング内視鏡検査

結論からお伝えすると、この講演のいちばんの軸は「胃がん・大腸がんが無い人を、正しく『無い』と言いきれる検査をする」ことの大切さでした。講師はちば県民保健予防財団 総合健診センターの山口和也先生です。

近年は、症状のない方に対して「拾い上げ(スクリーニング)」として行う内視鏡検査が増えています。山口先生の講演では、検診や経過観察など無症状の段階で見つかる胃がん・大腸がんが半数前後にのぼるという数字も示され、早期発見における内視鏡の役割の大きさが強調されていました。専門医だけでなく多くの医師が検査を担当する時代だからこそ、「見落としを減らす基本」を徹底することが重要、という内容です。

胃の検査で大切な3つの基本

具体的には、①胃の中の粘液をきれいに洗って吸い取る(観察の邪魔をなくす)②しっかり広げて、ひだとひだの間まで観察する③決まった順番で網羅的に撮影し、抜けをなくす、という3点が挙げられていました。だれが見返しても確認できる記録を残すことが、見落としを防ぐ近道だという考え方です。

大腸の検査では「楽に・くまなく」

大腸では、盲腸まで丁寧に観察すること、洗浄液(下剤)の飲みやすさに配慮すること、そして二酸化炭素(炭酸ガス)を使うことで検査後のお腹の張りを軽くできること、などが紹介されました。「もう二度と受けたくない」と思わせない検査にする、という患者さん目線の姿勢が印象的でした。  

(健診の便潜血検査で「陽性」と言われた方の検査の流れは、便潜血検査陽性でも慌てない!原因と対処法でも詳しくご紹介しています。)

当院での実践:この「無い人を正しく無いと言える検査」という考え方は、当院が内視鏡で最も大切にしている点と重なります。当院でも、粘液の除去・十分な観察・決まった手順での撮影を徹底し、大腸では炭酸ガス送気で検査後の張りをやわらげています。検査は院長が最初から最後まで担当します。 
当院で胃カメラの苦痛を抑える工夫については、胃カメラは痛くない?苦痛を抑える方法で解説しています。

2.講演3:小腸疾患診療の進歩

小腸は「口からも肛門からも遠い、内視鏡が届きにくい場所」で、長く"最後のフロンティア"と呼ばれてきました。この講演では、その小腸の検査がここ十数年で大きく進歩したことが語られました。講師は自治医科大学の矢野智則先生で、小腸内視鏡の分野を切り拓いてこられた第一人者のお一人です。  

柱になるのは2つの機器です。1つは飲み込んで小腸を撮影するカプセル内視鏡。体への負担が少なく自然な状態で観察できますが、洗浄や空気での拡張ができないなどの弱点もあります。もう1つはバルーン内視鏡で、風船を使って深い小腸まで到達でき、組織を採ったり治療したりもできます。さらに、原因のわからない消化管出血について、年齢や背景の病気に応じてCT・カプセル・バルーンを使い分ける診断の流れ(アルゴリズム)が整理されてきていることも紹介されました。カプセルは、腸が詰まりやすい方では事前に「開通性を確認する専用カプセル」で安全を確かめてから使う、といった配慮も解説されました。  

当院での位置づけ:当院の内視鏡は胃カメラ・大腸カメラが中心です。ただ、貧血や原因のはっきりしない出血があり「胃にも大腸にも異常がないのに…」というとき、小腸が原因になっていることがあります。最新の診断の流れを把握しておくことは、必要な方を適切なタイミングで小腸内視鏡が可能な施設へおつなぎする判断に役立ちます。 

3.講演4:ピロリ菌陰性胃癌時代の診断と治療

この講演の要点は、「ピロリ菌がいない・除菌した人の胃がんが増えており、見逃さない視点が必要」ということでした。講師は東京大学医学部附属病院の辻陽介先生です。

これまで胃がんの多くは、ヘリコバクター・ピロリ菌の持続感染による胃の炎症(萎縮性胃炎)を背景に起こると考えられてきました。ところが、2013年にピロリ菌感染胃炎への除菌治療が広く行われるようになり、若い世代の感染率も下がってきたため、ピロリ菌に「感染したことがない胃がん」や「除菌後の胃がん」に出会う機会が増えています。辻先生の講演では、東京大学の早期胃がんの治療例でも現在感染しているのは16%程度にとどまり、大半が除菌後または未感染であったこと、中学生の感染率が1.2%だったとする報告などが示されました。

感染したことがない方に起こる胃がんは胃がん全体の約1%とされますが、胃底腺型胃癌や、ラズベリー(木いちご)のように見える腺窩上皮型の腫瘍など、見慣れていないと見逃しやすい特徴的なタイプがあることが、実際の内視鏡画像とともに解説されました。  
(ピロリ菌に感染したことがない時代の胃がんについては、ピロリ菌陰性時代の上部消化管癌でも触れています。)

当院での考え方:「ピロリ菌がいない=もう胃カメラは不要」ではない、というのが大切なメッセージです。除菌後の方や未感染の方でも胃がんは起こりうるため、当院では年齢や検査歴に応じて、適切な間隔での胃カメラをおすすめしています。観察の工夫で、見つけにくいタイプの病変も見逃さないよう努めています。
除菌後の胃がんリスクと早期発見の対策は、ピロリ菌を除菌したのに胃がんに?で詳しく解説しています。


足立区青井・五反野エリアで、胃の検査をしばらく受けていない方や、除菌後の経過が気になる方は、お気軽にご相談ください。


胃カメラについて

5.スポンサードセミナー2:消化器の"困りごと"に対する漢方

検査をしても大きな異常が見つからないのに、つらい症状が続く――そんな「困りごと」に漢方が選択肢になる、という実践的なセミナーでした。講師は福島県立医科大学会津医療センターの田原英一先生(日本東洋医学会会長)です。漢方というと経験的なイメージがありますが、近年は研究データ(エビデンス)も蓄積されてきていることが強調されていました。

日常診療でよく出会う3つの場面が取り上げられました。①みぞおちの不快感・食欲低下(機能性ディスペプシア)には六君子湯――胃の動きや食欲を整える働きが報告され、研究では不安や気分の落ち込みの改善もみられたとのことです。②手術後に腸の動きが鈍くなる・腸閉塞には大建中湯――「おなかを温めて動かす」イメージで、排ガスまでの期間短縮などが報告されています。③下痢・腸炎、抗がん剤による下痢には半夏瀉心湯。さらに、最初の処方で効きが今ひとつのときに、症状の背景を見直して「次の一手」を段階的に選ぶ考え方が紹介されました。
(術後の腸の動きや排便障害への大建中湯については、排便障害の診断と治療・大建中湯への期待でも解説しています。)

当院での使い方:当院でも、検査で大きな異常がないのに胃もたれ・食欲低下・お腹の不調が続く方に、西洋薬と漢方を組み合わせてご提案することがあります。漢方は体質や症状によって合うものが変わりますので、自己判断ではなく、診察でご相談のうえ一緒に選んでいくのが安心です。漢方薬の具体的な飲み方(食前・食間・白湯)については、漢方薬の飲み方をご覧ください。

6.まとめ:学び続けて診療に還元します

今回の教育講演会では、内視鏡の基本から小腸の病気、ピロリ菌陰性胃癌、漢方まで、消化器診療の「進化」を幅広く学ぶことができました。機器・薬剤・技術・知識のいずれもが進歩を続けるなかで、基本を再確認しつつ新しい知見を取り入れ、当院の日々の診療に還元してまいります。

足立区青井・五反野で、胃カメラ・大腸カメラや消化器の気になる症状についてご相談されたい方は、当院にお気軽にお声がけください。

7.よくある質問

Q. ピロリ菌に感染したことがなければ、胃カメラは受けなくても大丈夫ですか?

A.必ずしもそうとは言えません。近年はピロリ菌に感染したことのない方や除菌後の方に見つかる胃がんも報告されており、感染がない=胃カメラ不要とは言い切れません。年齢やこれまでの検査歴によって適切な間隔は異なりますので、当院でも一人ひとりに合わせてご提案しています。気になる方は一度ご相談ください。

Q. 検査では異常がないのに胃の不快感や食欲低下が続きます。どうすればよいですか?

A.胃カメラなどで明らかな異常がないのに症状が続く場合、機能性ディスペプシアなど「動きや感じ方」の不調が関係していることがあります。生活面の工夫に加え、西洋薬や漢方薬が選択肢になる場合があります。自己判断で市販薬を続けるより、まず受診して原因を整理することをおすすめします。

Q. 大腸カメラの後にお腹が張るのが苦手です。軽くする方法はありますか?

A.検査中に送り込む気体に二酸化炭素(炭酸ガス)を用いると、空気に比べて体内に吸収されやすく、検査後のお腹の張りが軽くなりやすいとされています。当院でも採用しています。鎮静剤のご希望なども含め、予約時や問診でお気軽にご相談ください。

Q. 足立外科胃腸内科医院では、どのような体制で内視鏡検査を行っていますか?

A.当院では消化器内視鏡専門医である院長が、最初から最後まで責任をもって検査を担当します。鎮静剤を用いた苦痛の少ない検査にも対応し、ご希望や体質をうかがいながら無理のない方法を一緒に決めています。WEB問診・WEB内視鏡予約もご利用いただけます。  
日本消化器病学会関東支部第48回教育講演会参加証明書

参考

1.日本消化器病学会関東支部 第48回教育講演会(メインテーマ「進化を続ける消化器病診療」、2026年6月7日 WEB開催、会長:森本直樹〔自治医科大学 内科学講座消化器内科学部門〕)
2.講演1「見落としの少ないスクリーニング内視鏡検査」山口和也(公益財団法人ちば県民保健予防財団 総合健診センター 消化器内科)
3.講演3「小腸疾患診療の進歩」矢野智則(自治医科大学 内科学講座消化器内科学部門)
4.講演4「ヘリコバクター・ピロリ陰性胃癌時代の診断と治療」辻陽介(東京大学医学部附属病院 消化器内科)
5.スポンサードセミナー2「消化器疾患の"困りごと"に対する漢方〜エビデンスと次の一手」田原英一(福島県立医科大学会津医療センター 漢方医学講座)

本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の診断・治療を推奨するものではありません。学会講演で示された数値・知見は発表時点のものであり、実際の診療は個別の状況に応じて医師にご相談ください。
お問合せはTEL: 03-3880-1191
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